魔術原論エレメンタマギカ 読書メモ
出版日:2020/12/26
ページ:1010ページ
値段:19,800円
割としっかりした箱に入ってる。中身Ⅰ、Ⅱに分かれている。
Ⅰはニオファイトとジェレイター。Ⅱはセオリカスからポータルまでの理論と実践について書かれている。
内容は日本の魔術結社I∴O∴S∴の教育文書。一般書籍の魔術本の場合、実践については詳しいが理論部分がおざなりになりがち。全く書かれていないただのレシピ本ということもよくある。まして本文中に脚注が有る物は稀である。この本は元が教育用の文書だけあってきっちりしている。しかし、内容が難解な事、値段が高いため適した段階になっていない者にとって、高価な枕になるだけかも知れない。 はじめに(Pvi~Pv)
本の大まかな区分と、この本以前のことを載せている『実践魔術講座:リフォルマティオ』についてのお勧め。この本が分からないならリフォルマティオは読むべきだろう。ただ、リフォルマティオはかなりの難易度なので、初学者は頑張っても3割分かれば良い方だと思う。
魔術への小径(P5~
プロヴェイショナースクール(参入志願者のためのクラス)とこの文書の関連について。理論と実践に貴賤は無い。魔術作業と新たな次元について。
竜の術式。I∴O∴S∴でのポイントになっている術式である。アッシャーからイェツラー、そしてさらに上位の階層に上がるためのきざはしである。
魔術を勉強しても中二病的な楽はできねぇよ。という釘刺し。ちゃんと働け。
学習の指針(P10~P13)
本書は実践解説書。知識と技術を有機的に結びつける。『実践魔術講座 リフォルマティオ』を学習しておくこと。被っている術式は多数有る。本書はそれを基礎として発展していく。
上下巻を通読し、それぞれの知識を入れて置くことで技術を学びやすくなる。
疑問は全て解消しなければならない。(霊的指導者が居る場合、質問を分かりやすく整えて行うこと)
参考図書は、必須。必ず入手して学習すること。
ソロの場合、中々難しいところもある。
ニオファイト儀礼(P14~P46)
3種類の自己参入儀式があるが、1,2番目のGD式及びI∴O∴S∴式は、なかなか実施困難。(場所確保もそうだが、舞台装置の準備も)通常は3番目に書かれている簡易自己参入儀式を実践することになるだろう。
ただし、儀式全体で何をやっているのか、なんとなくでも理解しておくことは必要だと思う。
簡易儀式が何を残し、何を切り捨てたのか、良く考えるべし。そこに本質がある。
人類の意識進化(P47~
三重に偉大なるホルスとあり、ヘルメスで無いのが興味深い
竜の式文
生まれなき者の召喚に関し、古き者ホルス、太陽新ホルス、幼子ホルスの三相で支配する。
更にこの三神格は前個的意識、個的意識、超個的意識に照応
時代霊(Zeigeist)アダム・カドモンの相の一つ
現代の機械文明はラ=ホール=クイト(太陽新ホルス)の支配下となる
しかし、人によってはその魂の程度によって保護されている神格が違う
一人の人物にあっても揺れ動いている
メモ:悟りの境地についても、いわゆるベール超えも同じようなところがある
三相のホルスと大脳には対応する関係がある、とする
三位一体脳
原始爬虫類脳(反射脳)脳幹、間脳、基底核
旧哺乳類脳(情動脳)辺縁系
新哺乳類脳(理性能)新皮質
三相モデル
爬虫類複合体 古代神ホール=ウル
生存、情動、無意識、盲目的な躍動
旧哺乳類複合体 顕在神ラ=ホール=クイト
社会的行動、理性的活動、思惟的、意識的、活動的な力
前頭葉、大脳全体 未来神ホール=パール=クイト
意思決定
未来神=発現せざる神=生まれなき者
どこでもなくどこでもある=全体
神の主催する意識状態P50~
先ほどの三相モデルを更に別角度から。I∴O∴Sやケン・ウィルバー、ヤン・エブザー、ヘシオドスの時代の切り分け方から見ていく。
第一周期(ホール=ウル)
月期
第一周期の前半
ウロボロス
呪術期・幼児意識
黄金から白銀を経て聖堂に至る
狩猟社会から初期の農耕社会
第二周期(ラー=ホール=クィト)P52
地球期
眠り(ウロボロス)から呪術的意識(テュポーン)へ
狩猟文明から農耕文明
都市文明の建設
意識化の時代
都市と守護神
神霊の声を直接聞ける時代
地球期の前半は「神々と人間の住居共同体」
イリアスと近代的自我 オデュッセウア?かも?
ヘシオドスの五種族
第五期の時代は我々人類。鉄の種族
神の声と自意識
自意識が目覚めると共に神の声は聞こえなくなる
循環器系と感情に満ちた魂
血潮・肺腑
勇気と臆病は心臓に宿る
イリアス(ホメロス)の英雄は現代で言う主観を持っていない
二分心
幻の声
神の声の代弁者
神の声=脳の右半球の言語野。特にウェルニッケ野
幻聴に繋がる左右の脳の働き
古代人は意思決定に関わるストレスに弱い
幻聴を起こす
神の声を聞く
神話と歴史の混交
第三周期(ホール=パール=クラート)P59
未来・木星期
存在の大いなる入れ子
中心付近に物質であったり肉体であったりという”枷”があるが、徐々に放たれる様子
ケンタウロスの意識
野蛮と理性の二面性
意識状態の虹
他の状態(色)を受け止めきれない(排除する)ことが多い
AQAL--(All Levels Quadrants)
同じ時代であっても人間の意識の覚醒度合いは別々である
ケンタウロスからOversoul(大霊)へ
「われこそかれなり、かれこそわれなり」 ある一定以上の人類が神の意識(非二元論的悟性)を獲得したら進化の収斂に達するかも知れない
神々のテトラモルフ
様々な神の組み合わせを持って八面を作る
意識の軸と共に神殿の床面をとらえる
※ETMメモ 三位一体はいずこにもある。脳にも時間にも意識状態にも。これらの知識を身につけることで、コレスポンデンスの発見が容易になるかもしれない。現在意識から未来意識に移行することで大きな発見と進化が待っている。
※生命の木を思い浮かべれば、顔がそれに当たるか。三位一体の3が娘であるマルクトを生み出す。
異界との邂逅 P64
死後の世界-異界の一つ
幽界、顕界、来世、今世、黄泉、現世 各宗教の天国・地獄など
死後の世界と死後の生
天国と地獄 輪廻転生
魔術師にも輪廻転生の感性がある
必要があれば転生し、修行が終われば「輪廻の循環(ギルガル)」からの脱出を行う。
※西洋キリスト教ユダヤ教圏で、例え魔術界団体神秘主義団体の中であっても輪廻を肯定しているとは思わなかった。これは大きな収穫。自分の死生観も考え直す必要があるかも。
※西洋で輪廻転生というとグノーシスくらいしか思い浮かばぬ。
やはり1970年代の文化が強く影響するのか。様々なオカルト運動とヒッピームーブメント、魔術やニューエイジ運動が影響し合っている。
魔術は異界と深く結びつく。現世と異界の境目を歩むのが魔術師である。※ヘルシングの婦警みたいなもんか。
異界は現世にあふれ出すことも有れば、魔術師の力量によって異界から「引きずり落とされる」事も有る。
古くは、魔術は霊的世界とのコミュニケーション手段。
神話体験は、魔術師にとっては地図である。※パスワークではその思想を元に生命の木を登る。
異界体験は魔術師の夢、想像力、意志力を持って生み出される魔術的意識。
「拡張されたawareness」awareness=気づき、気付く、自覚
魔術師の意識を変化又は変性させることで拡張アウェアネスが発動する。
※逆に言えば、想像力などを十分に発揮するにはそれなりの土台が必要となる。神話体験や異界体験をするにはそれについて学ぶ必要がある。象徴を知らねば異界がほのめかす徴を認識出来ない。